株式会社Y's upの不動産業ブログ

10年越えの物件は要注意!?

10年越えの物件は要注意!

外壁調査義務の対象建物や外壁、調査時期ばどを解説!

外壁調査とは

 

建物の外壁の劣化や損傷を専門的な方法で確認する調査の事です。建築基準法により義務付けられています。

マンションなどの共用住宅では自治体が定める基準に適合する建物が調査対象となります。傷んだ外壁が落下して事故が起きると建物の所有者

が責任を問われる可能性があるため確実に実施しておく可能性があります。

外壁調査とは建物の外壁の劣化や損傷の状態を専門的な方法によって確認し、把握するための調査です。建築基準法12条に基づいて定められている

建築物などの定期調査・報告制度の一環として義務化されています。

調査の目的

外壁調査は建物の外壁が損傷などの理由で剥がれ落ち、通行人などに被害を及ぼすことを防ぐ目的で行われています。

過去に発生した外壁落下事故では死亡者も発生しているため、重要な調査だと思います。

外壁調査により、外壁の落下に繋がる損傷を早期に発見し、補修などを行って事故を未然に防ぐことができるのです。

調査対象の建物

 

調査対象の建物としては、不特定多数の方が利用する劇場や店舗など、自力非難が困難な方が利用する病院や老人ホームなどが国の政令によって指定されます。

また、特定行政庁が指定する建物もあり、この中でマンションなどの共同住宅が指定される場合もあります。

特定行政庁とは都道府県や建築事業を置く市町村などを指しこの特定行政庁によって定められた規模に該当するマンションなどは

外壁調査を行う必要があります。

調査の時期

外壁の調査については2008年に行われた建築基準改正法によってさらに厳格化されました。この改正法ではおおむね6か月~3年の間隔で行う部分的な点検に加えタイル・石貼りなどモルタルの外壁材は10年に1度の全面的な打診調査を行うことが定められたのです。

 

調査対象の個所

外壁調査の対象となる場所は、落下によって歩行者などに危害が及ぶ恐れのある部分です。

具体的には、該当する壁面の前面、かつ壁面の高さのおおむねの2分の1の水面内に公道や不特定多数のかたが通る私道、行内通路、広場などがある場合と国の方針によって定められています。

ただし、以下の部分は省かれます。

・壁面の下に頑固な屋根やひさしなどの落下物を防ぐ施設が設置されている部分

・植え込みなどで落下が影響する角度の範囲が完全に遮られ危険性がないと判断される部分。

まとめ

外壁調査は、建物の外壁の損傷や劣化を調査するもので建築基準法に基づき定期的に実施することが義務付けられています。

調査を行うことで外壁の剥がれなどを早急に発見し通行人への被害を未然に防ぐことができます。

マンションなどの共同住宅においては

都道府県や建築主事を置く市町村など特定行政庁が定めた基準に適合する場合、調査を行う必要があります。

より精度の高い外壁調査を行うには調査会社の選定が非常に重要です。実績が豊富で、調査方法の説明や報告書の作成を

丁寧に行う会社を選べば信頼性の高い調査結果を期待できます。

外壁調査は、マンションの安全性を維持し運用リスクを最小限に抑えるために欠かせません。まだ、外壁調査を実施していない物件が

ある場合は早急に実施することをお勧めします。

 

 

空き地を購入するにあたって

 

自宅の隣にある空き地を購入すれば、住環境が向上する期待がある一方、費用面や将来的な活用法に不安を感じる人もいるでしょう。

隣の空き地の購入を検討する際に知っておくべき費用や購入のメリット・デメリットを解説します。

 

空き地を購入する前に知っておきたい基礎知識

土地の購入は、将来の生活に大きく影響を与える可能性のため、しっかりと基礎知識を身に着けておくことが大切です。

 

空き地購入にかかる費用は?

空き地購入には土地そのものの価格以外にも様々な費用が掛かります。

主な費用としては、仲介手数料・登記費用・印紙税・不動産取得税などがあげられます。もろもろの費用を考慮すると、

土地の価格に加えて数百万円単位の費用が必要となる場合もあるため予算と照らし合わせて考えましょう。

また草刈りや清掃といった土地の管理費用も考慮し長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。

 

隣の土地を購入するメリット

・プライベート空間の拡大

・将来的な資産価格の向上

・防犯性の向上

隣の土地を購入する最大のメリットは、自宅の敷地を拡げプライベート空間を拡大できることです。

庭を拡張して家庭菜園などを楽しんだり子供たちの遊び場を確保したりと、可能性が広がります。

また、一般的に土地には希少性があるため、長期的に判断すると資産価値が向上する可能性が高いです。特に住宅地においては

広い方が土地の価値を高める傾向にあり将来売却をする際に、高値が付きやすいというメリットがあります。

 

さらに、隣の空き地を購入して自身の管理下に置けば防犯・防災のリスクが低減し、住まいの安全背性を高められることも利点です。

空き地は適切に管理されていない場合、不審者の侵入や放火のリスクがあります。自分の土地となって住居環境への安心感が得られればより快適な

生活を送ることができるでしょう。

 

隣の土地を購入するデメリット

・費用が掛かる

・近隣住民への配慮が必要

・売却時の流動性の低さ

 

まず、土地購入には高額な費用が掛かります。

家計の状況をしっかりと把握し、無理のない計画を立てることが重要です。

また、土地を購入する際には周囲への配慮が欠かせません。ほかの住民にたいして騒音や日照、景観などで影響を与える場合はトラブルにならないようにしましょう。

広くなった土地は、個人的なニーズに特化していて、適切な大きさの土地に比べて買い手が付きにくい場合があることも念頭に置いていきましょう。

 

隣の土地購入は未来を見据えて検討しよう

隣の土地の購入は、住環境の向上や資産価値の増加など多くの可能性を秘めています。

しかし、高額な費用や維持費、将来的な活用法など慎重に検討すべき点もあります。

 

太陽光パネルから起きる火災とは?

太陽光パネルの火災対策は万全でしょうか?

太陽光発電は、太陽光パネルの配線ショート、製品不良やケーブル不良といった理由から火災につながることが

あるため、事前の対策や保険の確認が大切です。

火災の主な原因は2つ。

1太陽光パネルの製品不良

2ケーブルの不良

 

1つ目の太陽光パネルの製品不良は、製造時の不良によって太陽光パネルが焼損するケースです。

もちろん各メーカーは厳格な品質管理のもと、製品不良の数も少なく抑える努力をしています。

しかし、製品不良を0にすることは難しいため太陽光パネルの製品不良を原因とする事故が発生することがあるのです。

 

2つ目のケーブルの不良とは、施工不良によってカーブルが発熱し出火してしまう事故の事です。

施工不良による火災を防ぐには施工業者選びや、定期点検の頻度や内容に注意する必要があります。

 

太陽光パネルの火災原因は?

製品不良、ケーブルの不良をはじめとして施工に不備がみられる場合、発熱、火災、事故に発展するリスクもあります。

特に太陽光発電所の設置直後にもかかわらず発電量が低下している場合は施工不良の可能性があります。

落雷被害で太陽光パネルが破損

落雷による被害は2種類に分かれています。直撃雷と誘導雷によるものです。

直撃雷は太陽光パネルなど物へ直接雷が落ちる事象を表しています。太陽光パネルを焦がしたり、接続箱を破損させたりします。

一方、誘導雷とは周辺で発生した落雷によって誘導電流が生じ、設備に影響を与えることです。

 

太陽光パネルが起因となる火災件数

太陽光パネルから発生している火災件数が気になっている人向けに、2008〜2024年の期間で登録された火災件数を紹介します。

まず消費者庁が運営している事故情報データバンクに登録されている太陽光パネルの火災件数は、374件(2024年4月時点)ヒットします。
※「太陽光 火災」と検索

火災が発生したシステムのほとんどは、モジュールやケーブルが起因となる火災であり、建物や発電施設が全焼する事故が起きている状況です。現在調査中の火災事故もあることから、消費者庁でも原因の究明を急がれています。

 

太陽光パネル火災が起きても放水できない理由【消防庁でも注意喚起】

太陽光パネルから火災が起きても、消防士による放水ができない場合があるとご存じでしょうか。消防庁でも注意喚起されているポイントを含め、放水できない理由を詳しく説明します。

感電の危険性がある

太陽光パネルの火災は、配線のショートや放電など、電気が起因になる場合があります。よって太陽光パネルの消火活動を実施すると、次のような感電リスクがあるのです。

  • 放水時の水を伝って感電する
  • 火災時も発電し続けるため近づくだけで漏電する
  • 電気が建物・施設を伝うことにより近づくだけで感電する
  • 急に太陽光パネルが起動して感電する

消防庁が公開する「太陽光発電システムの設置された一般住宅における消防活動上の留意点」では、感電対策として火災箇所から離れて放水すること、感電防止用の装備で放水に当たることなどを挙げています。

ただし、どのような対処をしても感電のリスクがあるため、太陽光パネルなど電気がかかわる設備には、簡単に放水できません。

メガソーラー発電所だと消防車が入り込めない

太陽光パネルの発電施設が小規模であれば、十分な対処を取ることで消火活動を実施できる場合もあります。しかし、メガソーラー発電所など、大規模かつ密集した構造になっている場合には、放水距離が届かず消火・鎮火ができない場合があるようです。

一般的に、消防車の放水距離は25~40m程度だと言われています。対して、メガソーラー発電所が半径40mを超える範囲で密集していると、中央部まで放水が届きません。また消防車が入り込めないため、簡単には放水できないのです。

よって近年では、太陽光パネル火災の問題を回避すべく、消防法によりモジュール等の設置ルールが定められました。発電所・建物ともに、消火しやすい環境を整えなければ、設備を設けられなくなっています。

太陽光パネル火災を防ぐ方法

太陽光パネルを起因とした火災発生頻度を減らしたい、止めたいと考えている人向けに、すぐに実施できる対策を整理しました。

信頼できるメーカーの太陽光パネルを導入する

太陽光パネルのメーカーは国内外に複数存在します。利用するメーカーによって太陽光パネル製品の品質に違いがあるため、必ず信用できるメーカーの製品を導入することが重要です。

たとえば、次のようなポイントをチェックし、任せられる業者を見つけてください。

  • 過去に製品を起因とする火災事例が起きていないか
  • 世界的に信用されているメーカーか

とくに重要なのが、過去の事例をチェックすることです。過去に火災が起きたメーカーについては利用しないほうが良いと言えます。

また、ベンチャー企業・メーカーは実績が少ないため、判断するのが難しいです。より良いメーカー製品を導入するためにも最初に確認してください。

 

太陽光パネル火災についてまとめ

太陽光パネル火災は、世界中で起きている問題です。国内でも火災事例が報告されており、山林だけでなく人家にも被害を及ぼしています。

火災の確率は、過去の事例より0.005%と低いものの、いついかなるタイミングで火災が起きるかわかりません。もし太陽光発電所を設置するのなら、設置場所の検討はもちろん、万全な火災対策を講じることが重要です。

新築一戸建ても価格が上昇

首都圏の新築一戸建ても価格が上昇?

マンション価格の高騰の影響か?調査結果を詳しく解説

 

新築一戸建ての平均購入価格は4844万円で、調査開始以降で最高額

まず、2024年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入物件について、見ていこう。購入物件価格の平均額は4844万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「6000万円以上」のシェアが20.1%になり、前年の13.2%から大きく増加した。

■購入価格(全体/実数回答)

購入価格(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

次に、購入物件の広さを見ると、建物の平均面積は98.5m2で、2022年の97.9m2、2023年の98.0m2とわずかながら2年続けて拡大している。一方、土地の平均面積は118.5m2で、こちらは2022年の122.0m2、2023年の119.3m2とわずかに縮小傾向にある。

物件最寄り駅からの距離を見ると、「バス・車利用」が2023年・2024年ともに最多の25.7%だったが、徒歩圏の平均を見ると2023年の14.0分から2024年の13.6分と、少し短縮している。

 

平均価格の上昇は東京23区のシェアが増えたから?

首都圏の新築一戸建ての購入平均価格が上昇したのは、駅距離や広さの条件によるというよりも、所在地の影響が大きいと考えられる。購入した物件の所在地で「東京23区」のシェアが前年の13.3%から15.9%に増えたからだ。

■購入物件所在地(全体/単一回答)

2023年契約者全体

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

物件所在地別の平均価格を見ると、「神奈川県」では2023年と2024年で違いはないが、「東京都下」、「埼玉県」、「千葉県」では2024年に上昇している。しかし、目につくのは、「東京23区」の平均価格の上がり方だ。2024年にはついに7000万円を突破したほど、急な上がり方をしている。

価格上昇が続く東京23区のシェアが増えたことで、平均価格を押し上げたといえるだろう。

■平均購入価格の推移

平均購入価格の推移

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

平均購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額や世帯総年収、共働き比率も増加

ちなみに、リクルートではすでに、「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」を公表している。このマンションの調査を見ると、平均購入価格は6629万円でやはり調査開始以降の最高額となった。ただし、物件の所在地のシェアでみると、東京23区が前年から大きく減少した。

これは、新築マンションの平均価格、特に東京23区の平均価格が8440万円になるなど、手が届きにくい価格になっていることの影響が考えられる。手の届きやすい価格帯の東京23区外のマンションを購入する動きがあった、とみられている。

では、新築マンションの価格上昇により、新築一戸建ての購入動向にも変化がみられるのだろうか?

新築一戸建ての平均価格が調査依頼最高額となり、東京23区の物件を購入したシェアが高まっていることは、すでに紹介した。このことから、23区内のマンションから一戸建てに切り替えた世帯が一定数いたことが想定できる。ちなみに、東京23区の平均価格は7202万円で、新築マンションより低い。

購入する価格が上がれば、ローンの借入額も増える傾向がある。2024年の調査結果を見ると、住宅ローンを借り入れた世帯の借入総額の平均は、4524万円となり、調査開始以来最高額となった。特に目立つのが、「5000万円以上」のシェアだ。2023年では「4000~5000万円未満」が最も多くなっていたが、2024年になると「5000万円以上」が31.4%で最多となっている。

■ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

借入額が増えたことの影響か、全体の世帯総年収額や共働き世帯比率も増加している。
まず、平均世帯総年収は2023年の814万円から2024年の875万円と上昇し、調査開始以来の最高額となった。なかでも、「1200万円以上」のシェアが大きく増加した。

■世帯総年収(全体/実数回答)

世帯総年収(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

共働き比率は全体で72.0%となり、調査開始以降で初めて7割を超えた。

さて、金利がある時代に変わり、住宅ローンの金利も上昇トレンドに入った。そうはいっても、まだ低金利の状況にあるといえる。購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額を増やしても、低金利の恩恵で利息を抑えることができるが、長期間返済するうちには金利が上昇する局面もある。無理のない資金計画を立てることが重要だ。

価格は当面下がりそうにないのに、金利は上がりそうないま、住宅購入を決めるのは難しいかもしれない。今は損得よりも、家族の生活拠点をどうしたいかを優先し、無理のない返済プランにすることを重視するのがよいだろう。日々の暮らしを快適にするために住宅を購入するのだから。

SUUMOジャーナルから引用

賃貸の火災保険

賃貸の火災保険、“自分でも選べる”ことを知っていたのはたった3割!?

不動産会社オススメの保険にそのまま加入するデメリットも解説

賃貸住宅で必要となる保険は火災保険だけじゃない!?

まず、この調査では、「現在の賃貸住宅用の火災保険に加入した状況」について聞いていることを押さえておこう。

というのも、賃貸に住む際に必要な保険は「火災保険」に限らず、「賠償責任保険」などもあるからだ。

火災保険は、住宅が火災の被害に遭ったときの損害を補償する保険。

ただし、補償内容は、火災に加えて、風水害や落雷、水漏れ、盗難などに範囲を広げられる(地震による火災は「地震保険」が対象)。また、消火活動に要した費用なども補償される。

賃貸住宅の建物は貸主(大家)のものなので、通常は建物の火災保険は貸主が、自身の家財の火災保険は借主が加入する。

もし、借りている部屋で火災などが発生したら、家財については補償の対象となるが、室内の壁やキッチンなどの設備は家財の対象にならない。

そのため、貸主が契約条件として、「借家人賠償責任補償」特約をつけた火災保険への加入を求めることがある。

「借家人賠償責任」の保険は、借りている部屋で事故などが起きたときに、貸主に対する損害賠償を補償するもの。

これによって、火災や水漏れで壁や床、住宅設備などに損害を与えた場合でも、保険によって借主の「原状回復義務」(入居中に生じた傷などを回復させる義務)を果たすことができる。

こうした保険に加入することは、貸主だけでなく借主にもメリットがあることなので、賃貸住宅の入居条件となっていることが多い。

 

7割以上は不動産会社が用意した保険にそのまま加入。約7割が自分で選べることを知らなかった

では、調査結果に話を戻そう。

まず、賃貸住宅用の火災保険加入者に対して、加入した状況に最も近いものを聞いたところ、「賃貸借契約の際に、不動産会社に指定された保険に加入した」(60.2%)が最多だった。

「賃貸借契約の際に、不動産会社にオススメされた保険に加入した」(12.6%)と合わせると、そのまま加入したのは72.8%に達する。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

次に、不動産会社が指定・オススメした火災保険に加入した728人に対して、「賃貸火災保険は不動産会社や管理会社が指定する特定の保険ではなく、自分で選んだ賃貸火災保険に変更できること」を知っているか聞いたところ、「知っていた」は30.9%にとどまり、「知らなかった」という回答が69.1%になった。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

また、現在加入している火災保険の補償内容や補償範囲などをどの程度理解しているか聞いたところ、「あまり理解していない」(38.0%)と「ほとんど理解していない」(10.7%)の回答を合わせた48.7%が、自分が加入している保険の内容を理解できていないことが分かった。

 

自分で選べば自分が必要とする範囲をカバーできる?

保険が賃貸住宅の入居条件となっているのは、火災などの被害に遭った場合に、貸主も借主も困らないようにするためだが、実際にどこまでの補償内容を求めるかは、貸主によって異なる。

火災保険(家財)に借家人賠償責任補償の特約を付帯することを条件とする場合もあれば、借家人賠償責任保険のみを条件として、家財の火災保険は借主自身の判断とする場合もあるだろう。

逆に、借主がすでに別の保険やクレジットカード付帯の保険で、補償内容をカバーしていることもあれば、借家人賠償責任保険ではなく「個人賠償責任保険」に入って、より補償範囲を広げたい(階下など他者への損害まで補償する)と考えることもあるだろう。

不動産会社が指定・オススメしている保険が、必ずしも自分に必要がない補償を含む場合もある。

保険加入が入居条件になっている場合は、貸主がどこまでの補償範囲を求めているのかを確認し、自分で保険を選べるかどうか相談するとよいだろう。

また、たとえ保険加入が入居条件ではなく任意の場合でも、万一に備えるために保険の加入を検討したい。

一般的に、補償が手厚いほど保険料も高くなるので、自分に合った保険を選びたいもの。

それには、保険の補償内容をよく理解し、どんなリスクまでカバーしたいのか考える必要がある。また、すでに加入済みの保険の補償内容を再確認して、重複することのないようにしたい。

くれぐれも、不動産会社が用意した保険だからと、補償内容をよく理解しないまま加入してしまうことのないようにしてほしい。

 

SUUMOジャーナルから引用

不動産業の今

令和5年度時点不動産業界の現状

まずは、将来性を計るためにしっかりと現状を把握することが大切です。本章では不動産業界の現状について詳しく解説します。

令和5年度時点で不動産会社は10年連続増加

国土交通省が発表した、令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果によると、この10年間で宅地建物取引業者数は連続で増加しています。

 

2019年から2022年はコロナウイルスの影響により、特に外食産業や観光業、旅行業などは大きなダメージを負いました。

不動産業も接客や販売方法など変化を迫られましたが、それでも会社数は増え続けています。東京オリンピック後に懸念されていた不動産の暴落といった状況にもなっておらず、比較的堅調に推移したことから不動産会社の増加につながっているといえるでしょう。

不動産の市場規模自体は一進一退の状況にある

不動産会社の数は増加傾向にありますが、不動産自体の市場規模はここ数年一進一退の状況となっています。

財務総合政策研究所が公表した「年次別法人企業統計調査における不動産業界の売上高」から市場規模を見てみましょう。2019年には45兆3835億円規模でしたが2023年には56兆4539億円と増加しています。2022年と比較しても前年比22%と全産業の中でも大きく増加しています。

コロナウイルスの2020年度も大きな増加率の幅は見られず、比較的安定して推移していることが読み取れます。

出典:年次別法人企業統計調査(令和5年度)

新築住宅の着工件数は減少傾向

新築の住宅着工件数も不動産業界の現状についての参考となります。

国土交通省が公表している「住宅経済関連データ 新設着工戸数の推移」で直近の10年間を見ると、新築の住宅着工件数のピークは2016年の約97万戸でしたが、2023年は約80万戸と減少傾向があります。

人口減少に伴って新設住宅着工戸数も減少していくことが予想されます。新築住宅市場自体は大きいものの、建設費の値上がりなどで新築だけではなく、中古物件を住居の選択肢として選ばれることも想定されます。

人手不足は深刻化している

不動産業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による人口減少の影響は避けられないものとなっています。不動産業界においても会社自体は増えていますが、従業員の高齢化は進んでいるといえるでしょう。

今後も人口減少の流れは変わりませんので、人手不足の対応強化が急務です。人手不足を解消するためには業務の手順を見直し、効率化やDX化を進めていく必要があります。特にITを使った業務効率などは、不動産業界にとって未着手となっている点も多く、官民一体とした業務効率化が求められているといえるでしょう。

2025年以降の不動産業界の課題

不動産業界では、今後課題と言われている様々な問題があります。課題といえばネガティブなイメージがあるかもしれませんが、裏を返せば課題を解決するビジネスチャンスにも繋がります。どのような領域にチャンスが生まれるのか、業界の課題を解説していきます。

 空き家数増加による「空き家問題」

不動産業界の人手不足の点でも解説しましたが、少子高齢化による人口減少は空き家の増加にも大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。

国土交通省の統計によると、2018年時点で20年間で約1.5倍に増えています。576万戸→849万戸に増加しており、社会問題の1つとされています。

 

二極化の流れも顕著で、都心部の需要は高いものの土地がないので土地の価格がどんどん高くなる一方で、高齢化が進んだ地方では高齢者の増加と共に空き家が増えています。

特に、団塊の世代と呼ばれた、人口が多い1947年から1949年世代の方々の相続が増えており、空き家の増加が急速に増えているのです。

空き家を放置することにより、近隣不動産の市場価値にも悪影響を及ぼす場合があり、不動産の健全な流通を阻害する要因となってしまうかもしれません。

空き家の増加は不動産業界が抱える大きな課題のひとつです。

急務となるIT化

人手不足に対する対策ともなりますが、IT化の急速な推進も不動産業界に与えられた大きな課題です。総務省が公表している平成26年時点の「情報通信白書」によると、不動産業の情報通信技術の活用状況(産業別ICT活用状況)は5.6ポイントとなっています。

金融、保険業の7.6ポイントや製造業の6.7ポイントと比較しても水準としては低く、アナログな風潮が残っているといえるでしょう。不動産業界に関わる行政や金融機関など、紙やFAXでやり取りをする文化も根強く残っています。

近年では、様々な不動産テックやDXのサービスが出てきています。それらをうまく活用しながら、生産性を高めていく工夫が必要となります。

 

囲い込み問題

囲い込みとは、不動産の所有者から依頼された売却物件を、他の不動産会社に紹介しないことを指します。

不動産の売却依頼を受けた不動産会社は、不動産が売却できるように購入希望者を探します。購入希望者を探す方法として、自社HPやポータルサイトへの登録や、チラシの配布などが挙げられますが、他の不動産会社への紹介も効果的な募集方法です。

しかし、購入希望者を他の不動産会社が探してしまうと、買主側の手数料は紹介した不動産会社が受け取ります。売却を依頼した不動産会社は売主からも買主から手数料を受け取りたいために、他の不動産会社に物件を紹介しないのが囲い込みの特徴です。これを、いわゆる両手取引と言います。

国土交通省も囲い込み対策に本腰を入れ、宅地建物取引業法の通達を改正し、2025年からは、囲い込みを確認すれば是正の指示処分となります。

不動産業界の将来性に影響がある出来事

将来どのような出来事が不動産業界に影響を及ぼすのでしょうか。今後の不動産業界に影響があると思われる出来事について詳しく解説します。

大阪万博開催

2021年にコロナ禍の中、東京オリンピックが開催され一定の落ち着きを見せてきました。

開催決定直後から不動産相場は上昇を続け、特に都心部は活況な時期が長らく続いていたといえるでしょう。東京オリンピック後は不動産価格が暴落するとの予測もありましたが、今のところ大きな暴落もありません。

このような世界的なイベントとして挙げられるのが2025年の大阪万博です。日本経済新聞の記事によると、経済効果は3兆円に迫るほどともいわれており、2,800万人を超える来場者が期待されています。

東京オリンピックが不動産市場に好影響をもたらしたように、大阪万博も不動産業界に一定の影響を与える出来事としてチェックしておきたいイベントです。

住宅ローン金利上昇リスク

ここ数十年、日本ではゼロ金利、マイナス金利といった言葉が世間で流れるようになり、国内の住宅ローン金利は過去にないほどの低金利で推移してきました。欧米諸国は景気に関する過熱感から金利が上昇局面に入っていますが、日本の金利は低いままで、金利の差が開いてきているのが現状です。

今後は金利が上がる可能性も考えられますが、金利の上昇は、すでに住宅ローンを借りている方にも、新規で借りる方にも金利負担増になるリスクがあります。

金利が上昇することによる不動産価格の推移を注視していく必要があります。

就職者の高齢化、後継者不足高齢化問題

不動産市場だけではなく、今後の日本経済において最も深刻な問題のひとつが少子高齢化です。子どもの数が減少し、人口自体が大幅に減少している上に、労働人口の減少により老齢世帯が突出する逆ピラミッド型の年齢層が形成されています。

先述したように、人口減少は空き家問題につながるだけではなく、住宅マーケット全体の縮小や働き手の不足にも繋がります。

国土交通省が発表している資料によると、業態別における社長の平均年齢は、不動産業が61.7歳で調査対象の業種のうち最高。また、 後継者不在率も、不動産業においては68.9%と、高齢化、後継者不在が喫緊の課題となっているデータがあります。

 

コロナ禍によるライフスタイルの変化

2019年から2022年まで猛威を振るった新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを大きく変化させました。特に人との接触が大幅に減少してしまったといえます。

不動産市場においてもライフスタイルの変化に対応しなければいけません。テレワークの普及により、書斎部屋やテレワークスペースの確保が必要になるでしょう。不動産市場もライフスタイルの変化を見据えた対応が求められます。

不動産業界の将来は明るい?未来のためにできること

ここまでは不動産業界の現場や課題について解説しました。最後に、課題に対しての向き合い方を業界の全体だけではなく、個人として取り組めることについても解説していきます。

不動産から派生する産業にも目を向ける

少子高齢化による人口減少や、都心部への一極集中、コロナウイルスなどの要因により不動産業界の将来も大きく価値を変えていく可能性があります。

しかし、人が存在する限り住まいの需要が無くなることはありません。さらに、不動産は流通だけではなく、管理や開発、周辺産業である建築や金融にも派生していく、出発点的な役割も果たしています。既存市場だけではなく、今後も新たな形でのビジネスもどんどん生まれていくことでしょう。

いわゆる不動産テックやDXのサービスもその1つ、様々な視点でビジネスを考えることで、既存の不動産業でも新しいビジネスチャンスを掴める可能性があります。

ニーズの多様化に柔軟に対応していく

ライフスタイルが多様化しているため、お客さまが不動産に対して求めることが多様になっています。

またジェンダーレスや、外国人などのニーズ、高齢者への理解など社会の多様性に対応していく必要がこれまで以上に出てきています。それらを踏まえて、特定の領域に特化してサービスを行う、なども戦略の1つです。

例えば今でも高齢者の方専門の不動産会社や、外国人の対応に特化した不動産会社などもあります。ニッチな分野に特化したスキルを持つことにより、その分野では大きな優位性を持つようになると、会社としても個人としてもオリジナルの強みを築くことができるでしょう。

不動産業界以外の知識やリスキリングにも目をむける

不動産は様々な業界と密接に結びついており、1つの取引が建築・金融・行政など影響は大きく広がっていきます。不動産と関連性が深い分野だと、知識を深めるために勉強してみるのがオススメです。他にもITを用いた営業活動の効率化など、現場に活かせる知識を学んでいくこともおすすめです。

新たなスキルが身に付き、今まで持っていたスキルとの掛け合わせにより、他の営業マンよりも優れた提案ができるかもしれません。すでに不動産業界で働いている場合は、ただ漠然とこなしていた分野の仕事をもう一度学びなおし、いわゆるリスキリングもできるようになると、営業の強い武器となるでしょう。

 

まとめ

不動産業界の将来性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。さまざまな変革は必要だとしても、人がいる限り不動産需要が無くなるわけではありません。

不動産業界の動向だけでなく、経済全体の動きをとらえながら、自ら学び続けて、コミュニケーション能力を高めていくことが、不確実な時代を生き抜く術となります。

特に不動産業界は、仕事の中で多くの人間性や専門性を磨き上げるチャンスもたくさんあり、展開も広がる、キャリアを築きやすい業界ともいえます。

ホームズから引用

一戸建ての防犯対策

一戸建ての防犯対策、ニュースなどを見て“対応済・対応したい”が85%に。防犯住宅にするなら何をする?

一戸建ての防犯対策、ニュースなどを見て“対応・対応したい”が85%に。防犯住宅にするなら何をする?

(写真/PIXTA)
昨今は、闇バイトによる侵入犯罪などが多発している。狙われやすいのは、一戸建てだ。日本サッシ協会が、一戸建て住宅の購入者(20代~60代の男女約450名)を対象に「戸建て住宅における防犯意識調査」を実施したところ、一戸建ての防犯対策をするかしないかは、“防犯意識”の違いによることが明らかだったという。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「戸建て住宅における防犯意識調査」を実施/日本サッシ協会

一戸建て購入時に44%が「防犯対策を考えなかった」、理由は防犯意識の不足

一戸建て住宅を実際に購入した、もしくは購入時に住宅の仕様を検討した人を対象に、「防犯対策についてどの程度考えたか」を尋ねた結果、44.0%が「防犯対策を考えなかった」(「まったく考えていなかった」9.9%+「あまり考えていなかった」34.1%)ことが分かった。

考えなかった人にその理由を聞くと、1位が「防犯意識が不足していた」(43.4%)、2位が「地域の治安が良好だと思っていた」(31.6%)となった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

一方、「防犯対策を考えていた」56.0%の人が挙げた理由は、1位が「普段から防犯意識が高い」(56.2%)、2位が「社会的事件が多く不安に思った」(53.4%)など、“防犯意識”の高さがうかがえる結果だった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

“防犯意識が高いか低いか”が、一戸建ての防犯対策に影響することが浮き彫りになった。

凶悪化する住宅侵入犯罪が多発して防犯意識は高まる

とはいえ、住宅侵入犯罪に関するニュースを目にすることが増えた。こうしたニュースを見て、「新たに住まいの防犯対策をしたか」と聞くと、「既に防犯対策を対応した・対応したい」という人が85%に達した。手口が巧妙でかつ凶悪化する住宅侵入に対する防犯意識が、かなり高まっているようだ。

防犯対策として採用したいものは、1位が「防犯カメラの設置」(64.4%)、2位が「玄関周りの強化(鍵の強化等)」(48.3%)、3位が「窓周りの強化(面格子や防犯ガラス等)」(43.5%)などが上位になった。

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

防犯カメラなど「抑止効果」を期待するものと、玄関周りの強化など「侵入しにくくする」ものの、二段構えを求めているようだ。

警察庁でも防犯住宅を目指すことを推奨。わが家の防犯診断も用意

警察庁でも、侵入犯罪を抑制するために、防犯住宅を目指すことを推奨している。そのために、建物錠の防犯性能の表示を求めたり、防犯性能の高い建物部品の開発や普及に力を入れたりしている。また、地域コミュニティの強化や自主防犯意識の向上などで、侵入犯罪に強いまちづくり・住まいづくりを呼び掛けている。

さらに、警察庁では、「住まいる防犯110番」のサイトで、「我が家の防犯診断」を掲載している。そのうち一戸建ての診断内容について簡単に紹介しよう。犯罪者は住宅の開口部といわれる場所から侵入するので、「玄関ドア」「1階の掃き出し窓」「トイレや浴室の高窓」「勝手口ドア」「2階の窓」「ベランダ」などの防犯性能が重要になる。

「玄関」については、“侵入に時間がかかる錠”の設置を求めるほか、照明や防犯灯などがない、通りから見通しが悪いなど“侵入者が隠れやすい環境”をなくすこと、屋外のどこかに鍵を隠しておくのをやめることなどの注意点を挙げている。

「勝手口」は玄関より、錠の防犯性能が低かったり、周囲から死角になりがちなので、より注意が必要だ。

1・2階の「窓」については、“ガラスを防犯性能の高いものにする”こと、“窓にロック付きクレセントや補助錠を付ける”ことなどを推奨。掃き出し窓など大きな窓には、“防犯性能の高い雨戸・シャッターを付ける”こと、小さい窓には“面格子を付ける”ことなどを推奨している。

また、物置や車庫、室外機、庭木などが2階にのぼる足場になる位置になっていないか、庭やベランダ、車庫が侵入者の身を隠す場所になっていないか、なども注意点として挙げている。

日本サッシ協会は、板硝子協会、日本ウインドウ・フィルム工業会、日本シャッター・ドア協会、日本ロック工業会との5団体で、防犯建物部品普及促進協議会を設置し、「防犯性能の高い建物部品」(CP部品)を認定・公表している。防犯対策をするうえで、開口部に防犯性能の高い商品を選ぶことも検討したい。

ただし、防犯性能の高い部品を設置したからといって、安心して施錠を忘れたり、庭木が伸び放題で隠れやすい環境を作ったりしては元も子もない。日頃から留守宅と悟られない工夫をするなど、高い防犯意識を保ち続けることが、最も重要だろう。

SUUMOジャーナルから引用

バルコニーは不要??

家にはバルコニー(ベランダ)があるのが当たり前と思っている方は多いかもしれません。
近年、乾燥機や部屋干しができるランドリールームの導入、花粉などの影響で外干しの機会が減り、
バルコニーを作らないケースも増えています。

バルコニーを作らない場合のメリット・デメリットとは?

 

バルコニー不要論の背景に
「コストダウン」「外干し機会減」

バルコニーを作る・作らないは、最近、お客さまとの打ち合わせでもよく議題に上がります。

物価高で建築費用が上昇する中で「どこを削れるか?」と考えたときに、「洗濯物は乾燥機で乾かすので外干しはほとんどしない。

だからバルコニーをなくす」という選択をされる方はいらっしゃいます。

バルコニーの要・不要については、「洗濯物を干すのに必要だから作る」「洗濯物を外干ししないから要らない」といった単純なものではなく、周辺の立地なども含めて「バルコニーがあった方がいいのか、なくてもいいのか」という視点で検討するといいでしょう。

例えば、採光が厳しい立地の場合、2階に光を取り入れるためにバルコニーを作った方がいいケースもあります。

大きな掃き出し窓※1が確保できて室内が明るくなり、空間全体を広く感じられることもあります。

 

バルコニーを作らないメリット・デメリットとは?

バルコニーを作らない場合のメリット

建築費用・メンテナンス費用が節約できる

バルコニーの建築費用がかからないので、総工費が安くなります。また、バルコニーの床の防水メンテナンス(およそ10〜15年に一度必要)や、腰壁がガラス製の場合は飛散防止フィルムの交換(およそ10年に一度必要)といったメンテナンスが不要になります。

掃除の手間が省ける

ほこりや汚れ、落ち葉などがたまりやすいバルコニーは、定期的な床の掃除や排水溝の掃除が必要です。バルコニーがなければその手間が省けます。

鳥のふん害を受けにくい

バルコニーがあると、ハトやカラスの止まり場になってふん害に悩まされることも。バルコニーがなければそうした被害もありません。

防犯面で安心

バルコニーが空き巣侵入の足場になったり、目隠しになったりする場合があります。外干しの洗濯物によって家族構成を推測されることも。バルコニーがなければ防犯面では安心といえるかもしれません。

バルコニーを作らない場合のデメリット

洗濯物や布団を外に干せない

バルコニーがないと、外干しはできません(庭に干す場合を除く)。ただし、乾燥機やランドリールームの導入、共働きの増加、花粉やPM2.5の影響で、外干しがベストとも言えないため、デメリットと感じない方もいるでしょう。

窓が汚れる・窓掃除がしにくい

バルコニーの奥行きで雨風がしのげるので、バルコニーがなければ窓が汚れやすくなります。さらに、足場がないので窓の外側を掃除しにくくなります。

エアコンの室外機の置き場に困る

バルコニーにはエアコンの室外機の置き場としての役割もあります。バルコニーがなく、室外機を地上に設置する場合、長い配管を壁にはわせるので工事費用が高くなり、外観デザインを損なうことも。配管を壁の内部に通す隠蔽配管という方法もありますが、追加工事が必要になり、エアコンの買い替えの際も機種が限られるケースがあります。

また、2階リビングの場合、バルコニーはゴミの一次保管場所にもなるため、バルコニーがないと困ることもあるでしょう。

閉塞感を感じる場合も

バルコニーを作らないと掃き出し窓が作れず、腰高窓※2かFIX窓※3になります。開口部の面積が狭くなる分、採光性が低くなり開放感が感じられない場合も。外の空気を吸ってリフレッシュしたいときなども、気軽に外に出られる場所がないので、閉塞感を感じるかもしれません。

※2腰高窓…成人が立ったときの腰の高さに設置される窓のこと

※3FIX窓…ガラスを窓枠にはめ込んだ開閉できない窓のこと

階下の直射日光がきつくなる

庇やバルコニーの張り出しを使って日射をコントロールする「パッシブデザイン」という設計手法がありますが、バルコニーをなくせば階下にダイレクトに日差しが入るので、暑さが厳しくなります。

プライバシーが守りにくい

バルコニーが張り出すことで、外から室内への視線を適度に遮ることができますが、バルコニーがないと外からの視線は感じやすいかもしれません。

バルコニーを作る・作らないで迷っている方は、メリット・デメリットをしっかりと踏まえた上で判断することをおすすめします。

バルコニー不要派だけじゃない
「ランドリールーム」のすすめ

以前実施した「ベランダ・バルコニーについてのアンケート」で、バルコニーの用途を尋ねたところ、約8割の方が「洗濯物や布団を干している」と回答したことからも分かるように、「バルコニー=洗濯物を干す場所」というイメージは未だ根強いのかもしれません。

そうした中で、バルコニーを作らない選択をした方の間で、洗濯物を部屋干しできるランドリールームを作るケースが近年とても増えています。

「洗う・干す・取り込む・アイロンがけをする・たたむ」が1カ所で行えるランドリールームは、洗濯まわりの家事の効率化を助けてくれます。普段はバルコニーで外干しをしている方も、ランドリールームがあれば雨の日や花粉の時期の部屋干しに重宝しますし、リビングに洗濯物を干さずに済みます。ランドリールームのように「多少散らかったり、生活感が出てもOK」というスペースが家の中にあると、心のゆとりにつながります。

ランドリールームの広さは少なくとも1.5帖、できれば3~4帖あると理想的です。縦長の空間だと両端の壁面収納量が増え、カウンターも設置できて使い勝手が良くなります。除湿器は必須で、備え付けの除湿器を設置したり、既製品を使ったり、浴室・脱衣所・ランドリールームがつながっていれば浴室の扉を開けて浴室乾燥機で乾かす方法もあります。ランドリールームの近くにファミリークローゼットを隣接させることで、家事動線がさらにスムーズになります。ランドリールームはバルコニーの有無を問わず、これから家を建てるすべての方におすすめしたい空間です。

バルコニーを「洗濯物を干す場所」という機能面だけでとらえると、「ランドリールームがあればバルコニーは不要」という結論になるのかもしれません。しかし、バルコニーは建物の「内」と「外」をつなぐ、「内でも外でもない空間」として、暮らしに豊かさをもたらしてくれます。

例えば、カフェで窓際の席に座ったり、温泉の露天風呂で開放感を味わったりするように、屋内にいるときでも外の開放感を求めてしまうことはないでしょうか。バルコニーは五感で自然を感じられる場所。家にいながら気軽に外とつながれるのは、半屋外的空間であるバルコニーならではの魅力です。

洗濯物を干すだけの用途なら、バルコニーの奥行きは90cm程度あれば足りますが、チェアを置いてコーヒーを飲んだり、読書をしたり、プランターを置いてガーデニング楽しむなど、くつろぎの空間として活用するなら1m80cm以上の奥行きが理想です。正方形に近いと使い勝手がいいですが、見晴らしのいい立地なら横長にバルコニーを取るのもアリ。隣家の視線が気になる立地なら腰壁を高めにしてプライベート感のある空間にしたり、眺望のいい場所なら外に開いて開放的にしたりと、立地に合わせて設計できます。

バルコニーを生活空間として取り込む設計のコツは、バルコニーに続く部屋とバルコニーの床の高さをそろえる、バルコニーの軒天と室内の天井を連続させて内外を緩やかにつなぐなどの手法があります。洗濯物を干すためのバルコニーと、くつろぐためのバルコニーを別々に作るのもおすすめです。

まとめ

バルコニーを作る・作らないに正解はありませんが、「コストが浮くし、使用頻度が低いから」という理由だけで作らないことを決めてしまうと、後悔する場合も。バルコニーの使用目的や、作らなかった場合のメリット・デメリットをしっかり検討しましょう。

ゴミ屋敷や引きこもりの背後。。。

ゴミ屋敷や引きこもりの背後に”SOS出せない住宅弱者”。住宅確保・外出サポート・ごはん配達など見守りで使命感もやす 社会福祉法人「悠々会」東京都町田市

 

ファミリーの多い、東京都町田市。土地に高低差あり、高齢者には外出しにくい面も

東京都町田市は、都心へのアクセスが良く、自然も豊かな暮らしやすい街。子育て世帯も多く住んでいます。町田市鶴川を主な事業エリアとして20年以上、住まいの支援活動をしている悠々会の鯨井さんは 「一方で、地形的には多摩丘陵に位置し、坂が多いのも特徴。高齢者にとっては、上り下りがきつく、外出しづらい面もある」と言います。

町田市は東京都と神奈川県の境にあり、新宿・渋谷・横浜などへのアクセスが良好。駅から少し離れると里山の風景が広がり、高低差の大きい坂も多い(画像/町田市)

町田市は東京都と神奈川県の境にあり、新宿・渋谷・横浜などへのアクセスが良好。駅から少し離れると里山の風景が広がり、高低差の大きい坂も多い(画像/町田市)

悠々会は特別養護老人ホームの運営や在宅看護サービスのほか、地元に根ざした福祉活動を続けている社会福祉法人。市の地域包括支援センター(介護保健法で定められた、高齢者をはじめとする地域住民の介護・医療・保健・福祉などの総合相談窓口)の運営業務も受託しています。なかでも鯨井さんが居住支援コーディネーターとして所属する悠々会の共生社会推進室は、地域のお困りごとを解決するための部署です。

買い物や病院への外出支援を行う「モビリティ事業」や、ひとり親世帯に2週間に一度、ごはんを届けつつ見守りを行う「おうちでごはん事業」などを実施。事情があって住まいを確保できずにいる人たちへの住まいの支援(居住支援)にも乗り出しています。

「町田市支え合い交通事業」の一環として鶴川団地で始まった悠々会のモビリティ事業は、外出が困難な高齢者などを限られたエリア内で送迎するサービス(画像提供/悠々会)

「町田市支え合い交通事業」の一環として鶴川団地で始まった悠々会のモビリティ事業は、外出が困難な高齢者などを限られたエリア内で送迎するサービス(画像提供/悠々会)

外出に支援が必要な人は「FREEMO(フリモ)」として30分500円の運賃(別途、乗車カード発行手数料として3000円)で乗り合いサービスを利用できる(画像提供/悠々会)

外出に支援が必要な人は「FREEMO(フリモ)」として30分500円の運賃(別途、乗車カード発行手数料として3000円)で乗り合いサービスを利用できる(画像提供/悠々会)

■関連記事:
若者が団地に住み込んで世代間を橋渡し。「鶴川団地」の”コミュニティビルダー”が魅力発信

「声に出せないSOSに応えたい」と始めた、住まいの支援

そもそも居住支援の必要性を感じるようになったのは20年ほど前のこと。当時、民生児童委員をしていた悠々会の理事長、陶山慎治(すやま・しんじ)さんが地域包括支援センター業務の一環で、生活保護受給者や高齢者の家に行ったとき、扉を開けると中はゴミ屋敷になっていることが度々ありました。外部とつながるすべを持たずに引きこもる人が多く、助けを求めるSOSの声の上げ方を知らずにいたのです。

陶山さんは「もっと早く気づいていたら、こんなことにならなかったのでは……」と思いながら、社会福祉の業務からは、なかなか住まいの支援につなげられません。身元保証人や緊急連絡先がなかったり、高齢のために孤独死や認知症の発症などによるトラブルを懸念する管理会社やオーナーから賃貸借契約の更新をしてもらえなかったりするケースも。陶山さんは「行政や不動産会社ともっとつながる必要がある」との思いを強くしたそうです。
そしていざ、本気で居住支援に取り組もうという機運が高まったのは2016年ごろになってから。

「高齢や身元保証人や緊急連絡先がないために、『賃貸契約を更新してもらえない』『立ち退かなくてはならない』という話をそれまでにも増して多く聞かれるようになりました。このことについて問題意識を持ち続けてきた陶山が所有していた不動産を活用して貸し出せないかと考えたのがきっかけです」(鯨井さん、以下同)

悠々会では地域の運営組織と連携して、イベントの手伝いをするなど、地域に根ざした福祉を目指して活動している(画像提供/悠々会)

悠々会では地域の運営組織と連携して、イベントの手伝いをするなど、地域に根ざした福祉を目指して活動している(画像提供/悠々会)

オーナーから1部屋ごとに賃貸物件を借り上げ、サブリース

悠々会が実施する「あんしん住宅事業」は、住まいに困っている人から要望などを細かにヒアリングした上で、不動産会社に要件を伝え、オーナーから悠々会が入居希望者に合う物件を直接借り上げてサブリース、つまり入居希望者に転貸するというもの。オーナーへの家賃支払いの責任を負うのは悠々会となり、入居者は悠々会に対して毎月の支払いをします。町田市の賃貸物件の3~4割が空室といわれるなか、悠々会が借り上げて入居に関する責任を持つことで、オーナーは空室が減り、家賃滞納や入居者の孤独死などの心配を軽減できます。この仕組みによって、これまで賃貸物件を借りることが難しかった人たちにも貸すことができるようになりました。

相談者の希望にあった物件を一緒に探し、悠々会がオーナーから直接借り受け(マスターリース)して、入居を希望する人に転貸(サブリース)する(資料提供/悠々会)

相談者の希望にあった物件を一緒に探し、悠々会がオーナーから直接借り受け(マスターリース)して、入居を希望する人に転貸(サブリース)する(資料提供/悠々会)

入居者にとっては、一緒になって住まい探しをしてくれる人がいるという安心感、さらに無理のない希望の範囲内で家を借りられる上に、24時間見守りシステム、買い物や通院などの周辺地域へのモビリティサービス付き。安定して生活していけるよう、悠々会が必要な行政の制度や、しかるべき支援団体やサポートを紹介するので、入居後の日常生活の不安や不便も軽減されるでしょう。

この見守りサービスやモビリティサービス利用にあたって、入居者が家賃以外に追加費用を負担することはないそう。オーナーから月3万円~4万円で借りて、家賃5万円で入居を希望する人に貸し出します。差額の平均1万5000円ほどが悠々会の収益で、見守りなどのサービス提供費用や人件費に充てられる仕組みです。

引越しや入居後の生活支援や見守りなど、必要とする支援がセットになった悠々会の居住支援(資料提供/悠々会)

サービス利用者の年齢は、20代~90代と幅広く、高齢者以外にも精神疾患のある人や発達障がいのある人などさまざま。それぞれに必要なサポートは異なります。何らかの介護やケアが必要となったら、適した施設を紹介することも可能です。

「ただ、あんしん住宅事業のモットーは『自己選択、自己決定』です。ご本人に自分の希望する暮らしに合った住まいを選んで決めてもらいます。あんしん住宅は、入居者が亡くなるまでずっと住んでいただいてもいいですし、グループ内の特別養護老人ホームを入居先の候補として選んでいただくことも、もちろんできます。そしてほかの会社が運営する施設に移ることも可能です」

周囲の理解、資金……困難を乗り越えながら、社会福祉法人としての使命感で走り続けた

あんしん住宅事業を始めた当初は、不動産会社やオーナーの事業への理解を得られず、高齢者や精神疾患のある人の受け入れはなかなか進みませんでした。

悠々会は法人として宅建業の資格を持っていないため、不動産会社やオーナーの理解と協力が必要です。住まい探しは、利用者と一緒に不動産会社を訪ね、諸条件を交渉するスタイル。不動産会社がNOと言えば、先にはつながりません。今でこそ賃貸物件のオーナーから直接「部屋が空いたので、借りてくれないか」という話もありますが、実績ができるまでには多くの苦労もあったようです。

「実績を積みながら皆さんにこの仕組みや意義を説明していくのは大変でした。大家さんや不動産会社と直接話をしても『貸す意味がわからない』とはっきり言われたこともあります」

ところが今となっては、そのように断られた不動産会社との関係が一番太く強くなり、多くの人が入居した後も大きなトラブルは起こっていないとのこと。現在、約20社の不動産会社とのつながりができ、鶴川エリア全体の物件を網羅して探せるようになったそうです。

「今後ますます空き家が増え、高齢者世帯が市の世帯数の半分以上を占めるようになるでしょう。私たちが、オーナーさんにとってのお客さまとなる入居希望者をお連れすれば空室が減り、サブリースという形を取ることで大家さんにとってのリスクが減ります。WIN-WINの関係が築けるのです」

住まい探しだけでなく、入居後の生活支援や万が一のときの死後事務委任などのサービスも提供する。障がいのある人や高齢者の見守りを行うことで、思わぬ事故や病気からの孤立死による特殊清掃の発生といったオーナーの不安を減らすことができる(画像提供/悠々会)

住まい探しだけでなく、入居後の生活支援や万が一のときの死後事務委任などのサービスも提供する。障がいのある人や高齢者の見守りを行うことで、思わぬ事故や病気からの孤立死による特殊清掃の発生といったオーナーの不安を減らすことができる(画像提供/悠々会)

ただし、この事業にはリスクも伴います。
オーナーへの家賃を支払うのは悠々会なので、オーナーのリスクは減りますが、悠々会への家賃を払う相談者には、日々の暮らしに困っている人も多い状況です。悠々会にとっては家賃滞納などの恐れのある事業であることは間違いありません。

しかし、悠々会では困っている人を広く支援するために、サブリースに際して家賃保証会社を利用せず、入居者の連帯保証人や緊急連絡先も必要としていないそう。

「本人に支払う意欲はあっても、この先、本当に払っていけるか微妙なラインの人もいます。これまでも社会福祉法人として、私たちが手助けしなければ、との思いからリスク度外視で支援することもありました。家賃を継続して払っていただけるように、支援団体や行政と協力して入居者の生活を安定させていくのが私たちの役目です」

現在は事業を始めて9年目。3年ほど前からは黒字に転じましたが「ここまで続けてこられたのは、経営母体である悠々会の他事業部門の支えや国の助成金があったから」だと鯨井さんはこれまでを振り返ります。

事業を拡大し、外出が困難な人へのライドシェア事業など、未来に向けた展望も

悠々会は「まだまだ困っている人はたくさんいる」と、居住支援の事業エリアを新たに神奈川県の川崎でも展開する予定です。とはいえ、介護事業などを通じて長く地域に関わってきた地元・鶴川と違い、新たな地で不動産会社や高齢者福祉施設、近隣の事業者との関係を一からつくり上げなくてはなりません。

さらなる課題は、人の問題です。
共生社会推進室で居住支援事業に携わる職員は2024年12月現在、非常勤2名、常勤2名の4名のみで100名以上の利用者に対応しています。今後さらに増えていくことが予想されるなか、スタッフの増員も考えていかなくてはなりません。しかし、居住支援コーディネーターは、それぞれの問題を抱えた相談者に適切なサポートを結びつけていくのが仕事。誰でも務まるわけではなく、知識や経験が求められます。人を育てつつ事業として成り立たせるためには、収益とのバランスも必要です。

それでも鯨井さんたちの支援に向ける熱意はとどまることを知らず、「死後事務委任、身元保証、預託金の部分なども事業として確立していきたい」と展望を語ります。 町田市内には公共交通空白地域もあるため、外出困難者の支援のためのライドシェアについても町田市と計画中です。

ライドシェアを運用するためのアプリ開発や、スマホ使いこなすための高齢者への教室など、鯨井さんたちのさまざまなアイデアが実際に動き出している(画像提供/悠々会)

ライドシェアを運用するためのアプリ開発や、スマホ使いこなすための高齢者への教室など、鯨井さんたちのさまざまなアイデアが実際に動き出している(画像提供/悠々会)

居住支援と福祉的生活支援を結びつけた「あんしん住宅事業」は、他の社会福祉法人との差別化につながり、悠々会のスタッフ募集時には、包括的な支援に興味のある新卒からの応募が増えるという、思わぬ効果ももたらしているとか。人手不足に悩むことの多い介護事業者としては嬉しい副産物です。

「企業であれば難しいことも、社会福祉法人だからこそできることがあるはず」という鯨井さんの言葉に、福祉的支援と居住支援という境目がなくなり、必要としている人に必要な支援を届けられる可能性を感じました。さらに多くの地域でこのような事業が展開・継続され、住まいに困る人たちが一人でも多く、自分の望む暮らしを手に入れられることを願います。

一戸建ての防犯対策

一戸建ての防犯対策、ニュースなどを見て“対応済・対応したい”が85%に。防犯住宅にするなら何をする?

 

昨今は、闇バイトによる侵入犯罪などが多発している。狙われやすいのは、一戸建てだ。日本サッシ協会が、一戸建て住宅の購入者(20代~60代の男女約450名)を対象に「戸建て住宅における防犯意識調査」を実施したところ、一戸建ての防犯対策をするかしないかは、“防犯意識”の違いによることが明らかだったという。詳しく見ていこう。

 

一戸建て購入時に44%が「防犯対策を考えなかった」、理由は防犯意識の不足

一戸建て住宅を実際に購入した、もしくは購入時に住宅の仕様を検討した人を対象に、「防犯対策についてどの程度考えたか」を尋ねた結果、44.0%が「防犯対策を考えなかった」(「まったく考えていなかった」9.9%+「あまり考えていなかった」34.1%)ことが分かった。

考えなかった人にその理由を聞くと、1位が「防犯意識が不足していた」(43.4%)、2位が「地域の治安が良好だと思っていた」(31.6%)となった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

一方、「防犯対策を考えていた」56.0%の人が挙げた理由は、1位が「普段から防犯意識が高い」(56.2%)、2位が「社会的事件が多く不安に思った」(53.4%)など、“防犯意識”の高さがうかがえる結果だった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

“防犯意識が高いか低いか”が、一戸建ての防犯対策に影響することが浮き彫りになった。

凶悪化する住宅侵入犯罪が多発して防犯意識は高まる

とはいえ、住宅侵入犯罪に関するニュースを目にすることが増えた。こうしたニュースを見て、「新たに住まいの防犯対策をしたか」と聞くと、「既に防犯対策を対応した・対応したい」という人が85%に達した。手口が巧妙でかつ凶悪化する住宅侵入に対する防犯意識が、かなり高まっているようだ。

防犯対策として採用したいものは、1位が「防犯カメラの設置」(64.4%)、2位が「玄関周りの強化(鍵の強化等)」(48.3%)、3位が「窓周りの強化(面格子や防犯ガラス等)」(43.5%)などが上位になった。

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

防犯カメラなど「抑止効果」を期待するものと、玄関周りの強化など「侵入しにくくする」ものの、二段構えを求めているようだ。

 

警察庁でも防犯住宅を目指すことを推奨。わが家の防犯診断も用意

警察庁でも、侵入犯罪を抑制するために、防犯住宅を目指すことを推奨している。

そのために、建物錠の防犯性能の表示を求めたり、防犯性能の高い建物部品の開発や普及に力を入れたりしている。また、地域コミュニティの強化や自主防犯意識の向上などで、侵入犯罪に強いまちづくり・住まいづくりを呼び掛けている。

さらに、警察庁では、「住まいる防犯110番」のサイトで、「我が家の防犯診断」を掲載している。

そのうち一戸建ての診断内容について簡単に紹介しよう。犯罪者は住宅の開口部といわれる場所から侵入するので、「玄関ドア」「1階の掃き出し窓」「トイレや浴室の高窓」「勝手口ドア」「2階の窓」「ベランダ」などの防犯性能が重要になる。

「玄関」については、“侵入に時間がかかる錠”の設置を求めるほか、照明や防犯灯などがない、通りから見通しが悪いなど“侵入者が隠れやすい環境”をなくすこと、屋外のどこかに鍵を隠しておくのをやめることなどの注意点を挙げている。

「勝手口」は玄関より、錠の防犯性能が低かったり、周囲から死角になりがちなので、より注意が必要だ。

1・2階の「窓」については、“ガラスを防犯性能の高いものにする”こと、“窓にロック付きクレセントや補助錠を付ける”ことなどを推奨。掃き出し窓など大きな窓には、“防犯性能の高い雨戸・シャッターを付ける”こと、小さい窓には“面格子を付ける”ことなどを推奨している。

また、物置や車庫、室外機、庭木などが2階にのぼる足場になる位置になっていないか、庭やベランダ、車庫が侵入者の身を隠す場所になっていないか、なども注意点として挙げている。

日本サッシ協会は、板硝子協会、日本ウインドウ・フィルム工業会、日本シャッター・ドア協会、日本ロック工業会との5団体で、防犯建物部品普及促進協議会を設置し、「防犯性能の高い建物部品」(CP部品)を認定・公表している。防犯対策をするうえで、開口部に防犯性能の高い商品を選ぶことも検討したい。

ただし、防犯性能の高い部品を設置したからといって、安心して施錠を忘れたり、庭木が伸び放題で隠れやすい環境を作ったりしては元も子もない。日頃から留守宅と悟られない工夫をするなど、高い防犯意識を保ち続けることが、最も重要だろう。

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