2025年07月01日
注意したい!夏に時期に起きやすい塗料の不具合と取り扱い方法
夏の時期は気温が高く、晴れる日が続くため、塗料の渇きが早く屋根や外壁塗装を行う際の塗装工程も比較的スムーズに進むことが多い時期です。しかし、気温が高すぎることで塗料自体や塗装工事中に不具合が発生してしまうリスクも高まります。
今回は、夏に起こりやすい不具合事例と正しい塗料の取り扱いについて詳しくお伝えします。
可使時間超過によるゲル化
この事例は2液型塗料のみの発生する不具合事例です。
塗料やシーリング材、接着剤等において主剤と硬化剤、硬化促進剤などを混合してから使用可能な時間の事を可使時間といいます。
塗料の場合、可使時間を超過すると塗料の反応効果が進み粘土が上昇します。粘土上昇が進むと塗装作業が困難になり、塗料本来の色や性能を発揮できないなどの不具合が発生する可能性があります。
一般的な可使時間は2~3時間で設定されることが多いですが、猛暑時や直射日光下では塗料や希釈剤(水やシンナー)の
放置による温度上昇が原因で可使時間いないでも粘土上昇が始まることがあります。実際に、夏の現場作業で希釈剤として水道水の温度が高く可使時間が短くなったという事例も起こっています。
※温度が高い環境下では硬化反応が進みやすいため
不具合が発生したときの対処法
可使時間を超過しゲル化した2液塗料剤は廃棄してください。希釈剤を添加すると一時的に粘度は下がりますが、塗料の反応は進行中のため塗膜性能が低下する恐れがあります。
水性塗料の表面皮張り
この事例は水性塗料のみで発生する不具合例です。
塗料缶の内部で塗料の表面のみが乾燥し写真のように幕が張る現象です。特に夏場は気温が高いため塗料の感想が進みやすく、この現象が起こりやすい傾向があります。幕が張っていることにきずかず、その状態のまま攪拌をすると、塗料中に細かい粒が発生する場合があります。
皮張りが発生する原因
1.容器の蓋に隙間があり、水分が失われ表面乾燥が進んだ
水性塗料は、溶媒である水分が発揮することで塗膜となります。容器の蓋に隙間がある場合徐々に水分が発揮し塗料の表面が乾燥
皮張りが発生する可能性があります。夏場は気温が高いため水分が発揮しやすく、皮張りも発生しやすいです。
2・屋根に放置して一部に直射日光が当たり温められ部分乾燥した
塗料缶の一部に直射日なり光が当たると塗料缶内部で温度差が生じます。その結果、溶媒である水分は温度の高い箇所で水蒸気となり揮発し、塗膜乾燥します。発揮した水蒸気は温度の低い箇所で水分となり缶内で結露します。
3・使い残しを保管し、容器内の空き缶率が高くなった
一度開封をした塗料を同じ容器で保管すると使用した塗料の分だけ空間率が高くなります。
空間率が高くなると、空間に含むことのできる水蒸気の量が増加するため、水性塗料中の水分が発揮しやすくなります。
事前防止策
・一度開封した蓋はきちんと締め、水分の乾燥を防いでください。
・現場で保管する場合は、直射日光を避けて保管してください。
・少ない残ネタは空間率を下げるため小さい容器に移ししっかり密閉してください。
不具合が発生したときの対処法
表面の皮張りを取り除いて使用してください。皮張りに気付かず攪拌した場合は粒となって塗料中に存在するためストッキングなどで濾過したあと使用してください。
硬化反応によるダマの発生
この事例はA液にB液を添加した後、すぐに電動撹拌機などを用いて攪拌を行います。しかし、A液にB液を加えた後攪拌せずに
しばらく放置した場合、塗料内にダマが発生することがあります。
架橋反応で硬化する2液塗料は、A液B液を混合することで反応が始まります。そのため、A液にB液を添加した状態で放置するとA液に濃厚なB液が長時間接触した状態になります。
事前防止策
A液にB液を添加した後はすぐに攪拌し、すぐに使用してください。放置することで部分的に反応が進みダマの発生原因となります。
直射日光の当たる箇所での混合・放置は反応が早くなるため直射日光を避けた場所で行ってください。
夏に外装塗装をするときの注意点
・塗料の希釈量
外装塗装でに使用する塗料は水性塗料であれば水で薄め、油性塗料はシンナーで割って使います。この割合を希釈量といいますが
希釈量は塗料ごとに違うのでそれぞれ適切な希釈量を守る必要があります。外装塗装は家を雨水の侵入から守るために重要なものですが正しい希釈量も守って塗料を使わなければ塗料の保護機能を十分に発揮させることができなくなります。
間違った希釈量で塗装されると、外壁全体の耐久度が下がってしまうため、これは非常に重要な問題なのです。夏は特に気温が高いために水分やシンナーが蒸発しやすいので最初は正しい希釈量だったとしても、途中から希釈の割合が変わってきてしまいます。そのため、その都度希釈しなおして常に正しい希釈量を保つことが大切なのです。
まとめ
塗料は温度による影響を受けやすいため特に気温の高い夏場は塗料の取り扱いや塗装作業に注意が必要です。
夏場の塗装品質向上のためにもぜひ参考にしてください。
場の安心安全のため危険物について学び、適切に溶剤塗料を保管していきましょう。