株式会社Y's upの不動産業ブログ

不動産業の今

令和5年度時点不動産業界の現状

まずは、将来性を計るためにしっかりと現状を把握することが大切です。本章では不動産業界の現状について詳しく解説します。

令和5年度時点で不動産会社は10年連続増加

国土交通省が発表した、令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果によると、この10年間で宅地建物取引業者数は連続で増加しています。

 

2019年から2022年はコロナウイルスの影響により、特に外食産業や観光業、旅行業などは大きなダメージを負いました。

不動産業も接客や販売方法など変化を迫られましたが、それでも会社数は増え続けています。東京オリンピック後に懸念されていた不動産の暴落といった状況にもなっておらず、比較的堅調に推移したことから不動産会社の増加につながっているといえるでしょう。

不動産の市場規模自体は一進一退の状況にある

不動産会社の数は増加傾向にありますが、不動産自体の市場規模はここ数年一進一退の状況となっています。

財務総合政策研究所が公表した「年次別法人企業統計調査における不動産業界の売上高」から市場規模を見てみましょう。2019年には45兆3835億円規模でしたが2023年には56兆4539億円と増加しています。2022年と比較しても前年比22%と全産業の中でも大きく増加しています。

コロナウイルスの2020年度も大きな増加率の幅は見られず、比較的安定して推移していることが読み取れます。

出典:年次別法人企業統計調査(令和5年度)

新築住宅の着工件数は減少傾向

新築の住宅着工件数も不動産業界の現状についての参考となります。

国土交通省が公表している「住宅経済関連データ 新設着工戸数の推移」で直近の10年間を見ると、新築の住宅着工件数のピークは2016年の約97万戸でしたが、2023年は約80万戸と減少傾向があります。

人口減少に伴って新設住宅着工戸数も減少していくことが予想されます。新築住宅市場自体は大きいものの、建設費の値上がりなどで新築だけではなく、中古物件を住居の選択肢として選ばれることも想定されます。

人手不足は深刻化している

不動産業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による人口減少の影響は避けられないものとなっています。不動産業界においても会社自体は増えていますが、従業員の高齢化は進んでいるといえるでしょう。

今後も人口減少の流れは変わりませんので、人手不足の対応強化が急務です。人手不足を解消するためには業務の手順を見直し、効率化やDX化を進めていく必要があります。特にITを使った業務効率などは、不動産業界にとって未着手となっている点も多く、官民一体とした業務効率化が求められているといえるでしょう。

2025年以降の不動産業界の課題

不動産業界では、今後課題と言われている様々な問題があります。課題といえばネガティブなイメージがあるかもしれませんが、裏を返せば課題を解決するビジネスチャンスにも繋がります。どのような領域にチャンスが生まれるのか、業界の課題を解説していきます。

 空き家数増加による「空き家問題」

不動産業界の人手不足の点でも解説しましたが、少子高齢化による人口減少は空き家の増加にも大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。

国土交通省の統計によると、2018年時点で20年間で約1.5倍に増えています。576万戸→849万戸に増加しており、社会問題の1つとされています。

 

二極化の流れも顕著で、都心部の需要は高いものの土地がないので土地の価格がどんどん高くなる一方で、高齢化が進んだ地方では高齢者の増加と共に空き家が増えています。

特に、団塊の世代と呼ばれた、人口が多い1947年から1949年世代の方々の相続が増えており、空き家の増加が急速に増えているのです。

空き家を放置することにより、近隣不動産の市場価値にも悪影響を及ぼす場合があり、不動産の健全な流通を阻害する要因となってしまうかもしれません。

空き家の増加は不動産業界が抱える大きな課題のひとつです。

急務となるIT化

人手不足に対する対策ともなりますが、IT化の急速な推進も不動産業界に与えられた大きな課題です。総務省が公表している平成26年時点の「情報通信白書」によると、不動産業の情報通信技術の活用状況(産業別ICT活用状況)は5.6ポイントとなっています。

金融、保険業の7.6ポイントや製造業の6.7ポイントと比較しても水準としては低く、アナログな風潮が残っているといえるでしょう。不動産業界に関わる行政や金融機関など、紙やFAXでやり取りをする文化も根強く残っています。

近年では、様々な不動産テックやDXのサービスが出てきています。それらをうまく活用しながら、生産性を高めていく工夫が必要となります。

 

囲い込み問題

囲い込みとは、不動産の所有者から依頼された売却物件を、他の不動産会社に紹介しないことを指します。

不動産の売却依頼を受けた不動産会社は、不動産が売却できるように購入希望者を探します。購入希望者を探す方法として、自社HPやポータルサイトへの登録や、チラシの配布などが挙げられますが、他の不動産会社への紹介も効果的な募集方法です。

しかし、購入希望者を他の不動産会社が探してしまうと、買主側の手数料は紹介した不動産会社が受け取ります。売却を依頼した不動産会社は売主からも買主から手数料を受け取りたいために、他の不動産会社に物件を紹介しないのが囲い込みの特徴です。これを、いわゆる両手取引と言います。

国土交通省も囲い込み対策に本腰を入れ、宅地建物取引業法の通達を改正し、2025年からは、囲い込みを確認すれば是正の指示処分となります。

不動産業界の将来性に影響がある出来事

将来どのような出来事が不動産業界に影響を及ぼすのでしょうか。今後の不動産業界に影響があると思われる出来事について詳しく解説します。

大阪万博開催

2021年にコロナ禍の中、東京オリンピックが開催され一定の落ち着きを見せてきました。

開催決定直後から不動産相場は上昇を続け、特に都心部は活況な時期が長らく続いていたといえるでしょう。東京オリンピック後は不動産価格が暴落するとの予測もありましたが、今のところ大きな暴落もありません。

このような世界的なイベントとして挙げられるのが2025年の大阪万博です。日本経済新聞の記事によると、経済効果は3兆円に迫るほどともいわれており、2,800万人を超える来場者が期待されています。

東京オリンピックが不動産市場に好影響をもたらしたように、大阪万博も不動産業界に一定の影響を与える出来事としてチェックしておきたいイベントです。

住宅ローン金利上昇リスク

ここ数十年、日本ではゼロ金利、マイナス金利といった言葉が世間で流れるようになり、国内の住宅ローン金利は過去にないほどの低金利で推移してきました。欧米諸国は景気に関する過熱感から金利が上昇局面に入っていますが、日本の金利は低いままで、金利の差が開いてきているのが現状です。

今後は金利が上がる可能性も考えられますが、金利の上昇は、すでに住宅ローンを借りている方にも、新規で借りる方にも金利負担増になるリスクがあります。

金利が上昇することによる不動産価格の推移を注視していく必要があります。

就職者の高齢化、後継者不足高齢化問題

不動産市場だけではなく、今後の日本経済において最も深刻な問題のひとつが少子高齢化です。子どもの数が減少し、人口自体が大幅に減少している上に、労働人口の減少により老齢世帯が突出する逆ピラミッド型の年齢層が形成されています。

先述したように、人口減少は空き家問題につながるだけではなく、住宅マーケット全体の縮小や働き手の不足にも繋がります。

国土交通省が発表している資料によると、業態別における社長の平均年齢は、不動産業が61.7歳で調査対象の業種のうち最高。また、 後継者不在率も、不動産業においては68.9%と、高齢化、後継者不在が喫緊の課題となっているデータがあります。

 

コロナ禍によるライフスタイルの変化

2019年から2022年まで猛威を振るった新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを大きく変化させました。特に人との接触が大幅に減少してしまったといえます。

不動産市場においてもライフスタイルの変化に対応しなければいけません。テレワークの普及により、書斎部屋やテレワークスペースの確保が必要になるでしょう。不動産市場もライフスタイルの変化を見据えた対応が求められます。

不動産業界の将来は明るい?未来のためにできること

ここまでは不動産業界の現場や課題について解説しました。最後に、課題に対しての向き合い方を業界の全体だけではなく、個人として取り組めることについても解説していきます。

不動産から派生する産業にも目を向ける

少子高齢化による人口減少や、都心部への一極集中、コロナウイルスなどの要因により不動産業界の将来も大きく価値を変えていく可能性があります。

しかし、人が存在する限り住まいの需要が無くなることはありません。さらに、不動産は流通だけではなく、管理や開発、周辺産業である建築や金融にも派生していく、出発点的な役割も果たしています。既存市場だけではなく、今後も新たな形でのビジネスもどんどん生まれていくことでしょう。

いわゆる不動産テックやDXのサービスもその1つ、様々な視点でビジネスを考えることで、既存の不動産業でも新しいビジネスチャンスを掴める可能性があります。

ニーズの多様化に柔軟に対応していく

ライフスタイルが多様化しているため、お客さまが不動産に対して求めることが多様になっています。

またジェンダーレスや、外国人などのニーズ、高齢者への理解など社会の多様性に対応していく必要がこれまで以上に出てきています。それらを踏まえて、特定の領域に特化してサービスを行う、なども戦略の1つです。

例えば今でも高齢者の方専門の不動産会社や、外国人の対応に特化した不動産会社などもあります。ニッチな分野に特化したスキルを持つことにより、その分野では大きな優位性を持つようになると、会社としても個人としてもオリジナルの強みを築くことができるでしょう。

不動産業界以外の知識やリスキリングにも目をむける

不動産は様々な業界と密接に結びついており、1つの取引が建築・金融・行政など影響は大きく広がっていきます。不動産と関連性が深い分野だと、知識を深めるために勉強してみるのがオススメです。他にもITを用いた営業活動の効率化など、現場に活かせる知識を学んでいくこともおすすめです。

新たなスキルが身に付き、今まで持っていたスキルとの掛け合わせにより、他の営業マンよりも優れた提案ができるかもしれません。すでに不動産業界で働いている場合は、ただ漠然とこなしていた分野の仕事をもう一度学びなおし、いわゆるリスキリングもできるようになると、営業の強い武器となるでしょう。

 

まとめ

不動産業界の将来性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。さまざまな変革は必要だとしても、人がいる限り不動産需要が無くなるわけではありません。

不動産業界の動向だけでなく、経済全体の動きをとらえながら、自ら学び続けて、コミュニケーション能力を高めていくことが、不確実な時代を生き抜く術となります。

特に不動産業界は、仕事の中で多くの人間性や専門性を磨き上げるチャンスもたくさんあり、展開も広がる、キャリアを築きやすい業界ともいえます。

ホームズから引用

建設業における梅雨対策

建設現場は雨の養生が必要!雨で中止する工事と工事段階の雨対策

 

雨の養生の必要性は、工事段階によって異なるので注意が必要です。今回は、建設現場における雨の養生の必要性、雨で中止する工事、工事段階の雨対策について解説していきます。

 

■建設現場で雨の養生が必要な理由

建設現場で雨の養生をしない場合、どのようなリスクがあるか見ていきましょう。

 

◇木材などの腐食

建設に使用する木材などが雨に濡れると、雨水を吸い込んで腐食する可能性があります。濡れたままの木材で作業を続けると、建物が完成したあとに結露やカビの発生につながりかねません。そのため、木材を使用する建物の場合、ブルーシートなどで養生しましょう。

一方、鉄骨の場合は濡れても特に問題ありません。鉄筋が雨に濡れると錆が発生しますが、錆で表面がガサガサした方がコンクリートとよく馴染むメリットがあります。

ただし、基礎と建物をつなぐアンカーボルトの場合、錆びると耐久性が下がることもあるので注意が必要です。

 

◇手・足が滑りやすい

施工中に雨が降った場合、手が濡れることで工具が滑り落ちることがあります。下に人がいた場合、落ちてきた工具が当たってケガをする可能性も否定できません。

また、足場は金属製のため濡れると滑りやすくなり、滑って転倒や転落するリスクがあります。安全靴から長靴に履き替えた場合は特に注意が必要です。安全靴は靴紐でしっかりフィットしますが、長靴は足よりもやや大きめです。安全靴との感覚の違いにより、段差に引っかかり、転倒や階段から落ちるケースもあるので注意しましょう。

 

■雨で作業できなくなる工事の種類とは?

実際の建設現場では、大雨や強風でない限り作業が休みになることはほとんどありません。雨が降った場合は、できる部分の施工を行なうのが一般的です。しかし、工事の種類により、雨や強風で作業ができなくなるケースがあります。そこで、雨で中止になる工事とその理由を紹介します。

 

◇塗装工事・左官工事

外での作業になる外壁の塗装工事や、屋外の左官工事は雨で中止になります。ただし、建物の外側の工事が済んでいる場合、屋内の塗装工事や左官工事は雨でも作業が可能です。天気予報や当日の雨の降り具合により、外から屋内に作業を変更することがあります。

 

◇掘削工事

基礎工事の一つである掘削工事は、穴を掘る作業のため雨の作業は困難です。地盤がゆるくなることで土砂崩れのおそれがあること、土を運ぶダンプで道路が汚れるといった理由があるためです。

 

◇コンクリート打設工事

雨がコンクリートと混ざると強度に悪影響を及ぼすため、コンクリート打設作業は中止になる可能性があります。また、コンクリート打設後に表面を仕上げる作業の場合も、強い雨が降ると作業が中止になります。

一方、数時間前にコンクリートを打設した場合は、雨が降っても問題ありません。コンクリートが固まるのは、セメントと水の水和反応によるものです。乾燥により強度が下がるうえに、表面にひび割れが発生する場合があります。あえて散水して乾燥を防ぐこともあるため、土砂降りでない限り、コンクリート打設後の雨は恵みの雨といえます。

 

◇屋根工事

雨の養生ができない屋根工事は、高所作業の危険が伴うことから中止になります。雨のなかの高所作業は足元が滑りやすく、墜落などの事故の危険性が高まるためです。

 

■建設現場の工事段階における雨対策

建設工事の段階ごとに、雨対策の必要性と対策方法が変わります。そこで、工事段階ごとにおこなう雨対策について見ていきましょう。

 

◇基礎工事中の雨対策

基礎工事中、コンクリートの打設前に雨が降った場合、むき出しの鉄筋が錆びることがあります。前述のとおり、鉄筋が錆びるとコンクリートに馴染むため、雨の養生は必要ありません。

ただし、コンクリート打設後に雨が降った場合、基礎と建物をつなぐ役目があるアンカーボルトが錆びていないか確認する必要があります。アンカーボルトは錆止めの加工がしてありますが、長時間の雨で加工が剥がれ、錆びることがあるためです。

 

◇上棟前の雨対策

上棟前の場合、1階の床下地合板が濡れないように、ブルーシートで養生する必要があります。床下地合板は「乾燥材」と呼ばれる、内部まで乾燥した板を使用することが一般的です。乾燥板は雨が染み込みにくいうえに、雨が上がると乾燥し、元に戻る性質があります。

ただし、床下地合板が乾燥したあとも凹凸が残る、または膨らんだり波打っていたりする場合は注意が必要です。床下地合板の上にフローリングを敷くため、歪みがあると床鳴りの原因になります。

 

◇上棟後の雨対策

上棟が終えていれば雨に濡れても問題ないため、ブルーシートなどの雨対策は特に必要ありません。

ただし、防水工事をしていない状態で雨がたまる場合や、湿った状態が続くとカビの原因になります。雨の養生は不要ですが、工事再開時に専用の機械で木材の含水率を確認することが重要です。なお、工事が可能な含水率の目安は、20%以下とされています。

 

◇外壁施工後の雨対策

外壁の施工まで済んでいる場合、雨の養生は基本的に必要ありません。ただし、工事の再開時に室内や床下に雨水が侵入していないか、目視で必ず確認しましょう。特に床下は蒸発しにくい環境のため、カビが発生しやすいので注意が必要です。

 

■まとめ

建設現場による雨は、材料により養生の必要性が変わります。基礎工事の鉄筋の場合、雨で錆びるとコンクリートと馴染む、コンクリート打設後は乾燥を防ぐメリットがあります。一方、木材が濡れた場合、しっかり乾燥しないと結露やカビの原因になるので注意が必要です。

また、屋外の塗装や左官、屋根工事、掘削工事などは雨で中止になることが基本です。そして、工事の段階で雨対策の必要性が変わるため、適切な対策をとること、カビを防ぐ乾燥対策をしっかりおこないましょう。

ベスキャリから引用