2025年06月23日
全国安全週間は厚生労働省と中央労働災害防止協会の主唱により、
産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ることを目標として
1928年から毎年実施されています。
また2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、企業による職場の熱中症対策が罰則付きで法的に義務化されました。
建設業界は事故やケガ、熱中症などのリスクが高く従事者の命と健康を守るためには現場の安全衛生管理が欠かせません。
安全家性管理のための総務的な取り組み
2025年6月から義務化された熱中症対策に思うこと
健康管理でこれからの時期、特に気を付けたいのが熱中症。6月からは熱中症対策が法的に義務化されました。確かに年々暑くなっている印象です。
いざというときの連絡体制や、処置の仕方がわかっている人は必要ですし管理者として対応が求められる職長自身も体調に気を付けないといけません。
熱中症対策義務化の対象となりそうな業種は?
今回の改正省令では熱中症対策を義務図ける、職種・業務などは定めていません。上記の条件に当てはまる作業を行う企業は
すべてが対象となり、作業内容が屋内か屋外かなども問われません。
そのため、建設業や警備業などの屋外作業が多い業種だけでなく工場や倉庫での作業を中心とする業種も場合によっては対象となるでしょう。そのほか、外回りが多い営業職なども気温31度を超える日に1時間以上で歩く場合は対象となります。
6月から企業に求められる熱中症対策
熱中症の基本的な考え方は、
見つける、判断する、対処する
です。
1.報告体制の設備
熱中症の被害を拡大させないためには早期発見が必要です。そのため、熱中症の自覚、他覚症状が現れたらその旨をだれに
報告すればいいか明確である体制や熱中症の初期症状がある労働者を早期に見つけられる体制が企業に求められています。
熱中症が疑われる症状としてはめまいや頭痛、吐き気、倦怠感などがあげられます。
労働者自身にこのような自覚症状がなくても大量に汗をかいているぼーっとしているなど普段と違う様子が見られたら早期発見
できるかもしれません。
2.実施手順の作成
熱中症の疑いがある労働者を把握した場合、迅速かつ明確な判断を行い、重篤化を防ぐために必要な措置を講じることも企業の義務です。いざというときに明確な判断ができるよう事業場ごとに緊急連絡網や緊急搬送先の連絡および所在地などを関係者に周知しましょう。
熱中症対策が罰則付きで義務化される背景
今回の熱中症対策義務化では近年の深刻な状況とこれまでの対策では不十分であったという現状認識に基づいています。
地球温暖化の影響による熱中症リスクの増加
地球温暖化の影響によりひと昔と比較すると近年の夏の暑さは異常ともいえる状況が続いています。
これに伴い、職場における熱中症の発生が急増しており、労働災害は深刻な問題となっています。
職場における、熱中症による死傷者数の増加
2021年から右肩上がりとなっており2024年には1257人を記録しそのうち31人がなくなっています。厚生労働省の統計によると
これらの熱中症による死亡災害のほとんどの原因が初期症状の放置・対応の遅れです。
※初期症状の放置・対応のおくれで死亡に至ったケースがほとんど
2020年から2023年にかけて発生した103件の熱中症による死亡災害のうち100件は重篤化した状態で発見される。
医療機関に搬送しなかったなど初期症状の放置や対応の遅れが原因と言われています。
熱中症はほかの災害と比較して死に至る割合が5から6倍です。体温が高くなったり、意識がもうろうとしたりといった
熱中症の初期症状がみられても大丈夫だろうと自己判断したり周囲が異変に気付いても対応が遅れたりすることが重篤化を招いています。
現行法令の不備と改正の必要性
これまでの労働安全衛生法の規則では、
“高温などによる健康障害を防止するための必要な処置を講じなければならない”
とされており労働安全衛生規則において労働者に与えるために塩及び飲料水を備えること。などが義務づけられていました。
しかし現状は熱中症関連の労災事故の多くで原因とされる初期症状の放置や対応の遅れに対応する明確な規定がありませんでした。
この現状を改善し、熱中症による健康障害の疑いがあるものの早期発見や重篤化を防ぐための対応を事業者に義務図けるため
この度労働安全衛生法第22条第2号では以下のように定められています。
“事業者は高温による労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じる義務がある”
そしてその具体的な措置は労働安全衛生規則で定められているものとされています。
今回の改正はこの法律の規定を受けて熱中症対策を労働安全衛生規則に明記するものです。
熱中症リスクは総合的に判断する
熱中症は作業高度や着衣の状況によってもリスクは高まります。特に身体作業強度が高いほどあるいは透湿性・通気性の
悪い服装であるほどWBGT基準は低く設定されるべきとされています。
自社の業務が熱中症対策義務化の対象となる作業に該当しない業務であってもこれらの要素によって熱中症のリスクが高まる場合は義務化される対策に準した対応が望ましいとされています。
労働者への周知・教育を徹底する
整備した報告体制や実施手順は、関係者に漏れなく周知し内容を理解してもらうことが非常に重要です。
単に文章を配布するのではなく、労働衛生教育として熱中症の症状・予防方法・緊急時の対応手順などについて教育を行うことが求められています。
労働育成教育の実施に当たっては厚生労働省や環境省が運営するサイトに掲載されている教育用教材を活用することが推奨されています。事業者が自ら実施することが難しい場合は外部の関係団体から行う教育を活用するのもいいでしょう。
効果的な職場における熱中症対策事例
作業時間の短縮
WBGT値が基準値を大幅に上回る場合は、原則として作業を控えます。
暑熱順化への対応
暑さに慣れていない人は熱中症リスクが高いです。熱へのばくろを7日以上増やして作業時間を調整しながら
徐々に暑さに慣れさせることが待っています。特に新規採用者や夏季旧家などで熱へのばく露が中断した後の労働者には
計画的な暑熱順化プログラムを組みましょう。
水分や塩分の摂取
のどのフキを感じる前に作業前後に加えて作業中も定期的に水分と塩分を摂取することが求められています。
管理者は摂取状況を確認したり水分を常備したり休憩設備を工夫したり労働者の摂取を徹底しましょう。
まとめ
これは最近の猛暑による熱中労働災害の増加、特に初期症状の放置や対応の遅れによる重篤化を防ぐための重要な法改正です。
厚生労働省などが推奨するその他で熱中症対策も参考にしつつ総合的な対策を推進し労働者の安全と健康管理確保に努めましょう。
カテゴリ:建設業ブログ